自分が役員から外されていないかを確認する方法

自分が役員から外されていないかを確認する方法

自分が知らない間に役員から外されていないかは、登記事項証明書を取得することにより確認することができます。登記事項証明書は誰でも取得することができますので、会社に知られることなく確認することが可能でございます。本記事では、取得の方法と読み方、外されていた場合の初動を整理いたします。

 結論 登記事項証明書を取得して確認します

確認の手順は、次のとおりです。

順序 内容
第1 登記事項証明書を取得します(商業登記法第10条第1項)
第2 役員に関する事項の欄において、自らの氏名の記載を確認します
第3 退任又は解任の記載がある場合には、その年月日及び原因を確認します
第4 必要に応じて、閉鎖された事項を含む証明書を取得します
第5 会社に対し、株主総会議事録その他の資料の提示を求めます

登記事項証明書は、法務局の窓口、郵送又は電子的な方法により請求することができます。会社の商号及び本店の所在地が分かれば取得することができます。

 登記事項証明書の読み方

 役員に関する事項の欄

取締役及び監査役の氏名、代表取締役の氏名及び住所は、登記事項とされております(会社法第911条第3項)。役員に関する事項の欄には、就任、重任、退任、解任、辞任といった記載が、年月日とともに記載されます。

記載 意味
就任 新たに役員となったこと
重任 任期の満了と同時に再び選任されたこと
退任 任期の満了等により役員でなくなったこと
辞任 自ら辞任したこと
解任 株主総会の決議により解任されたこと
資格喪失 資格を失ったこと

身に覚えのない「辞任」の記載がある場合には、辞任届が偽造されている可能性がございます。この場合には、速やかに対応する必要がございます。

 二つの年月日

役員に関する事項の欄には、退任等の原因が生じた年月日と、登記がされた年月日とが記載されます。会社は、登記事項に変更が生じたときは2週間以内に変更の登記をしなければなりませんので(会社法第915条第1項)、両者の間隔が著しく開いている場合には、その理由が問題となる余地がございます。

 閉鎖された事項

現在事項のみを記載した証明書では、既に抹消された記載が現れないことがございます。過去の経緯を確認する場合には、履歴事項又は閉鎖事項を含む証明書を取得してください。

 登記以外の確認の方法

資料 確認し得る事項 根拠
株主総会議事録 決議の日及び内容 会社法第318条第4項
定款 員数及び任期の定め 会社法第31条第2項
株主名簿 株主の構成 会社法第125条第2項
計算書類等 会社の財産の状況 会社法第442条第3項

これらの資料の閲覧等は、株主又は債権者としての地位に基づいて請求することができるものでございます。株主でない場合には、取締役としての立場により求めることになります。

 外されていた場合の初動

第一に、事実関係を記録することでございます。登記事項証明書を取得した日、記載の内容、これを知った経緯を記録に残してください。

第二に、会社に対して書面により事実関係の説明を求めることでございます。いかなる書面に基づいて登記が申請されたのかを確認いたします。

第三に、辞任の意思がないことを明らかにすることでございます。配達の記録が残る方法により通知し、写しを保管してください。

第四に、地位の確認を求める手続を検討することでございます。登記の記載を直接に取り消す簡便な手続はございませんので、勝訴の判決を得たうえで登記の是正を求めることが基本となります。

 偽造が疑われる場合

行使の目的で他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書を偽造した者は、処罰の対象となり得ます(刑法第159条第1項)。また、公務員に対し虚偽の申立てをして登記簿に不実の記載をさせた者も、処罰の対象となり得ます(刑法第157条第1項)。

もっとも、刑事の手続と、地位の回復を求める民事の手続とは別のものでございます。地位の回復を目的とする場合には、民事の手続を中心に検討することになります。

 外されていなかった場合

登記上は役員のままである場合であっても、会社の業務から事実上排除されていることがございます。この場合、役員としての責任は残りますので、放置することは望ましくございません。

また、後任が選任されていないため、なお役員としての権利義務を有する状態にあることもございます(会社法第346条第1項)。この点も、登記事項証明書と定款の員数の定めから確認することができます。

よくあるご質問

質問1 登記事項証明書は誰でも取れますか。

取得することができます。会社の商号及び本店の所在地が分かれば足ります。手数料が必要でございます。

質問2 会社に知られずに確認できますか。

登記事項証明書の取得について、会社に通知がされることはございません。

質問3 本店の所在地が分かりません。

商号による検索が可能でございます。過去の名刺、契約書、給与明細等からも確認することができます。

質問4 解任と記載されておりました。

株主総会の決議がされたことを意味します。決議の日から3か月以内であれば、決議の取消しを求める訴えを提起する余地がございます。

質問5 辞任と記載されておりましたが署名しておりません。

辞任届が偽造されている可能性がございます。速やかにご相談ください。

 確認事項の一覧

確認事項 確認の方法
自らの氏名の記載の有無 登記事項証明書
退任等の原因 同上
原因の年月日及び登記の年月日 同上
過去の記載 履歴事項又は閉鎖事項を含む証明書
決議の有無及び内容 株主総会議事録
定款の員数及び任期の定め 定款の謄本

まず登記事項証明書を取得することが、すべての出発点となります。取得のうえでご相談ください。

本記事における非開示事項について

登記の記載から読み取るべき事情、会社に対する説明の求め方、辞任の意思がないことを明らかにする書面の記載の程度、地位の確認を求める手続の選択は、登記の内容及び資料の状況により異なり、当事務所が実務において蓄積してまいりました知見に属しますので、公開しておりません。

弁護士法人M&A総合法律事務所へのご相談

弁護士法人M&A総合法律事務所(代表弁護士 土屋勝裕)では、役員の解任に関するご相談をお受けしております。当事務所は、役員の側の代理人となる案件も、会社の側の代理人となる案件も取り扱っており、この分野に精通していることから当該分野を取り扱っております。

  • 電話番号 03-6435-8418
  • 受付時間 8時00分から21時00分まで(土曜日・日曜日・祝日も受付)
  • ご相談は事前予約制です

弁護士費用につきましては、弁護士費用一覧のページをご覧ください。

本記事の根拠条文

会社法 第31条第2項(定款の閲覧等)、第125条第2項(株主名簿の閲覧等)、第318条第4項(株主総会議事録の閲覧等)、第330条(株式会社と役員との関係)、第339条第1項(役員の解任)、第346条第1項(役員が欠けた場合の措置)、第442条第3項(計算書類等の閲覧等)、第908条第1項・第2項(登記の効力)、第911条第3項(株式会社の設立の登記の登記事項)、第915条第1項(変更の登記)、第976条(過料に処すべき行為)

商業登記法 第10条第1項(登記事項証明書の交付の請求)

刑法 第157条第1項(公正証書原本不実記載等)、第159条第1項(私文書偽造等)

判例法理による部分 退任の登記の是正を求める手続の選択については、判例法理及び実務の運用によります。個別の事案における適用は、事実関係により異なります。

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