役員不再任の場合の残存任期役員報酬の損害賠償請求

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役員の不再任と残存任期の報酬の損害賠償請求に関するメインのページです。本ページは、取締役の解任に関する規定の類推適用により賠償を求める構成と資料の備えをご説明します。任期の変更による強制的な退任は別のページをご参照ください。

▶ 任期の満了により再任されなかった場合に争える点

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役員に再任されなかった場合に残存任期の役員報酬の損害賠償請求ができますか?

役員不再任の場合の残存任期役員報酬の損害賠償請求ですが、これは、会社法の類推適用により可能との裁判例があります。

不当に再任してもらえないことにより実質的に役員を解任されることもよくありますので、これにより損害賠償請求が可能ということとなります。

不当な取り扱いを受けても諦める必要はありません。

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会社法第339条第2項の類推適用という構成

会社法第339条第1項は、役員及び会計監査人はいつでも株主総会の決議によって解任することができる旨を定め、同条第2項は、解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる旨を定めております。

これに対し、任期の満了により退任した取締役が再任されなかった場合は、条文の文言上は「解任」に当たりません。任期の満了による退任は、株主総会の決議による解任とは異なるからです。

もっとも、本文に掲げた東京地方裁判所平成27年6月29日判決は、任期を短縮する旨の定款変更により本来の任期の前に退任させられ、その後再任されなかった者について、会社法第339条第2項の類推適用により損害賠償を請求することができると判断いたしました。任期の短縮という会社側の行為によって実質的に解任と同視し得る結果が生じている場合には、解任と同様に扱うべきであるとの考え方です。

類推適用が認められる場面と認められない場面

重要な点は、任期の満了により再任されなかったという事実のみをもって、常に損害賠償請求が認められるものではないということです。

任期が満了した取締役を再任するか否かは、本来、株主総会の裁量に委ねられております。株主には、任期の満了後に当該取締役を選任しない自由があります。したがって、通常の任期の満了による不再任については、損害賠償請求は認められないのが原則です。

前記の裁判例が類推適用を認めたのは、会社が任期を短縮する定款変更を行うことにより、本来の任期の途中で退任させるという結果を作出した点を捉えたものです。すなわち、実質的には解任と同視し得る事情が存在することが前提となっております。

したがって、ご自身の事案において請求が可能であるかを判断するためには、次の各点を確認する必要があります。

第一に、定款上の任期がいつ変更されたか、変更の時期と退任の時期との関係です。

第二に、任期の短縮その他の措置が、当該役員を退任させることを目的として行われたと評価し得るかです。

第三に、再任しないことについて正当な理由があるかです。職務の執行に関する不正の行為、著しい能力の不足、健康上の理由等が主張されることがあります。

認められる損害の範囲

会社法第339条第2項にいう損害は、解任されなければ在任中及び任期満了時に得られた利益の額、すなわち残存任期中の報酬額及び任期満了時に支給されるはずであった役員退職慰労金の額を基準として算定されるのが一般です。

もっとも、前記の裁判例は、本来の任期の終期までの5年5か月以上にわたり会社の経営状況及び取締役の職務内容に変化が全くないとは考え難いとして、報酬の2年分を損害額として認めております。残存任期の全期間の報酬が当然に認められるものではなく、期間が長期にわたる場合には減額される可能性があります。

また、退任後に他の職に就いて収入を得た場合には、これが損益相殺の対象となり得るかが争われることがあります。

請求を検討される場合に準備すべき資料

第一に、定款及びその変更の経緯が分かる資料です。定款変更を決議した株主総会の議事録が重要です。

第二に、履歴事項全部証明書です。就任及び退任の登記の年月日から、任期及び退任の経緯を確認いたします。

第三に、役員報酬の額が分かる資料です。株主総会議事録、取締役会議事録、報酬に関する内規、源泉徴収票等です。

第四に、役員退職慰労金に関する内規及び過去の支給実績です。

第五に、退任に至る経緯を示す資料です。議事録、通知書、電子メール等です。

時効

会社法第339条第2項に基づく損害賠償請求権は、債権の一般の消滅時効に服します。すなわち、権利を行使することができることを知った時から5年、権利を行使することができる時から10年です(民法第166条第1項)。

もっとも、事案によっては起算点が争われますので、退任から時間が経過している場合には、早期にご相談ください。

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