株主総会の招集を請求して議題を提出する方法

株主総会の招集を請求して議題を提出する方法
役員の解任を株主総会に諮るためには、まず解任の議案が上程される場を確保する必要がございます。定時株主総会を待つほか、臨時の株主総会の招集を請求する方法がございます。本記事では、招集の請求の要件と、議題を提出するための手続を、日程の逆算とともに整理いたします。
結論 招集の請求と議題の提案とを組み合わせます
手順の全体は、次のとおりです。
| 順序 | 内容 |
|---|---|
| 第1 | 持株の数及び割合を確認し、要件を満たすかを検討します |
| 第2 | 取締役に対し、目的である事項及び理由を示して招集を請求します(会社法第297条第1項) |
| 第3 | 遅滞なく招集の手続が行われないとき等は、裁判所の許可を得て自ら招集します(同条第4項) |
| 第4 | 既に総会が予定されている場合には、議題の提案権を用います(会社法第303条) |
| 第5 | 議案の要領を株主に通知することを請求します(会社法第305条第1項) |
| 第6 | 否決された場合には、30日以内に解任の訴えを検討します(会社法第854条第1項) |
いずれの手続にも期限がございますので、日程を逆算して準備することが重要でございます。
株主総会の招集の請求
要件
総株主の議決権の100分の3以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができます(会社法第297条第1項)。定款により、この割合及び期間を下回る定めをすることができます。
公開会社でない株式会社においては、6か月前から引き続き有することという要件は適用されません(同条第2項)。
請求の方法
請求は、目的である事項、すなわち議題と、招集の理由とを示して行います。役員の解任を求める場合には、対象となる役員を特定した議題とすることが必要でございます。
請求は、配達の記録が残る方法により行い、到達の日を記録してください。この日から期間が進行いたします。
自ら招集する場合
請求の後遅滞なく招集の手続が行われない場合、又は請求があった日から8週間以内の日を会日とする株主総会の招集の通知が発せられない場合には、請求をした株主は、裁判所の許可を得て、株主総会を招集することができます(会社法第297条第4項)。
裁判所の許可を得る手続には一定の期間を要しますので、あらかじめ見込んでおく必要がございます。
議題の提案権
株主は、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができます(会社法第303条第1項)。取締役会設置会社においては、総株主の議決権の100分の1以上の議決権又は300個以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主に限り、請求することができるものとされ、この請求は株主総会の日の8週間前までにしなければなりません(同条第2項)。
したがって、既に定時株主総会が予定されている場合には、その8週間前までに請求を行う必要がございます。
議案の提案権及び議案の要領の通知の請求
株主は、株主総会において、株主総会の目的である事項につき議案を提出することができます(会社法第304条)。もっとも、当日に提出したのでは、他の株主の判断の材料が不足いたします。
そこで、株主は、取締役に対し、株主総会の日の8週間前までに、株主総会の目的である事項につき当該株主が提出しようとする議案の要領を株主に通知することを請求することができます(会社法第305条第1項)。この請求により、招集の通知に議案の要領が記載されることになります。
日程の逆算
| 時点 | 行うこと |
|---|---|
| 総会の日の8週間前まで | 議題の提案及び議案の要領の通知の請求 |
| 総会の日の2週間前まで(公開会社) | 会社が招集の通知を発します(会社法第299条第1項) |
| 総会の日の1週間前まで(公開会社でない場合) | 同上 |
| 総会の当日 | 議案の提出及び議決権の行使 |
| 総会の日から30日以内 | 否決された場合の解任の訴えの提起 |
| 総会の日から3か月以内 | 決議に瑕疵がある場合の取消しの訴えの提起 |
臨時の株主総会の招集を請求する場合には、請求から8週間以内の日が会日とされ得ますので、これを前提として準備を進めることになります。
議決権の把握と委任状
解任の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数をもって行われます(会社法第341条)。したがって、議決権の分布の把握が不可欠でございます。
株主は、株主名簿の閲覧又は謄写を請求することができます(会社法第125条第2項)。また、株主は代理人によって議決権を行使することができますので(会社法第310条第1項)、他の株主から委任を受けることが考えられます。代理権の授与は、株主総会ごとにしなければなりません(同条第2項)。
よくあるご質問
質問1 持株が100分の3に満たない場合はどうしますか。
他の株主と共同して要件を満たす方法がございます。定款により要件が緩和されている場合もございます。
質問2 会社が請求を無視しております。
一定の期間内に招集の通知が発せられないときは、裁判所の許可を得て自ら招集することができます。
質問3 招集の理由はどの程度書く必要がありますか。
目的である事項との関連が分かる程度の記載が必要でございます。過度に詳細な記載は、後の主張を制約する場合がございます。
質問4 株主名簿を見せてもらえません。
閲覧又は謄写を請求することができます。応じられない場合には、請求した事実を記録に残してください。
質問5 否決されることが確実でも請求する意味はありますか。
解任の訴えは、議案が否決されたことを要件といたしますので、その前提を作るという意味がございます。
確認事項の一覧
| 確認事項 | 確認の方法 |
|---|---|
| 持株の数及び割合 | 株主名簿 |
| 保有の期間 | 取得の記録 |
| 公開会社であるか | 登記事項証明書、定款 |
| 定款の要件に関する定め | 定款の謄本 |
| 定時株主総会の時期 | 定款、過去の招集の通知 |
| 基準日の定め | 定款 |
| 他の株主の意向 | 個別の協議 |
日程の逆算が要でございます。総会の時期が見えた段階でご相談ください。ご相談は事前予約制です。
本記事における非開示事項について
招集の請求の書面の記載の程度、裁判所の許可を得て招集する場合の準備、議題及び議案の立て方、他の株主との連携の進め方は、株主構成及び会社の対応により異なり、当事務所が実務において蓄積してまいりました知見に属しますので、公開しておりません。
弁護士法人M&A総合法律事務所へのご相談
弁護士法人M&A総合法律事務所(代表弁護士 土屋勝裕)では、役員の解任に関するご相談をお受けしております。当事務所は、役員の側の代理人となる案件も、会社の側の代理人となる案件も取り扱っており、この分野に精通していることから当該分野を取り扱っております。
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弁護士費用につきましては、弁護士費用一覧のページをご覧ください。
本記事の根拠条文
会社法 第124条第1項(基準日)、第125条第2項(株主名簿の閲覧等)、第296条第2項・第3項(株主総会の招集)、第297条第1項・第2項・第4項(株主による招集の請求)、第298条第1項(株主総会の招集の決定)、第299条第1項(株主総会の招集の通知)、第303条第1項・第2項(議題の提案権)、第304条(議案の提案権)、第305条第1項(議案の要領の通知の請求)、第310条第1項・第2項(議決権の代理行使)、第339条第1項(役員の解任)、第341条(役員の選任及び解任の株主総会の決議)、第854条第1項(役員の解任の訴え)
判例法理による部分 招集の請求の理由の記載の程度については、判例法理によります。個別の事案における適用は、事実関係により異なります。
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